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失われた10年にTFP上昇はなぜ停滞したか:
製造業データによる実証分析



権 赫旭・深尾京司


June, 2006


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Abstract
本論文では、1990 年代における日本のTFP(全要素生産性)上昇停滞の原因について分析した。まず、マクロ・産業レベルのTFP 上昇に関する先行研究を批判的にサーベイし、なぜ多くの研究の間で結果が異なるかを検討した。これにより多くの研究が90 年代に製造業を中心にTFP 上昇が減速したとの結果を得ていることが分かった。我々は次に、製造業に関して企業活動基本調査の個票データを用いて、1994−2001 年の産業別TFP 上昇を、参入・退出効果、再配分効果、内部効果等に分解する分析を行った。日本では、欧米と比較して、参入・退出効果や再配分効果が小さく、このような低い「新陳代謝機能」が、90 年代のTFP の停滞を起こした可能性があることがわかった。また、TFP の高い企業グループと、低い企業グループを比較すると、両グループ間の格差が広がっていた。TFP の高い企業グループでは国際化の程度やR&D 集約度が高く、グローバル化や研究開発に遅れた企業との間で格差が広がっている可能性が指摘できる。
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