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本稿では、1990 年代以降、家計の債務負担が増大している状況下で、「借り入れ制約」に直面している世帯の実態を捉えることを目的としている。
具体的には、親からの贈与、家計補填などの移転、家族間の繋がりが、子ども世帯(世帯主年齢20 歳代〜50 歳代の有配偶世帯)の借り入れ制約に対して、どのような影響を持ちうるのかということに焦点をあて、@)借り入れ制約が家計行動に与える影響の考察、A)借り入れ制約の規定要因に関する分析を行っている。 本分析より得られた知見は、借り入れ制約に陥った直後、消費支出、とくに「交際費」、「教養・娯楽」などの自由裁量支出を抑制し、貯蓄を取り崩して対応していることが確認できた。また、借り入れ制約に陥る家計ほど、親からの家計補填、生前贈与などの授与割合が低い傾向が見られた。そして、借り入れ制約に陥るかどうかについては、世帯の可処分所得、流動性の高い資産保有、勤め先規模など当該家計の経済的要因とともに、親からの移転、親の経済力(所得)が、子どもの家計借り入れ制約に対して影響を持つことが確認された。
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