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預金保険制度、ペイオフ解禁と預金者規律:
家計のミクロデータによる預け替え行動の検証
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90年代のいわゆる「護送船団方式」の終焉に伴い、伝統的な政府による金融機関に対する規律付けを補完・代替する役割として、預金者による金融機関の選別機能(預金者規律)が重要視されている。本稿では、預金者規律が実際に有効に機能する余地があるかどうかを検証するため、家計のミクロデータを直接用いて、預金保険制度やペイオフ解禁に対する預金者の認知度や制度変更による預け替え行動の決定要因を検証した。預金の全額保護の枠組みが始まった1996年と、ペイオフ凍結の一部解除をひかえた2001年を比較すると、2001年時点のほうが金融資産の預け替えが積極的に行われたこと、より多くの家計がペイオフ凍結解除を認識し、それによって預け替えの有無を決定するようになったことがわかった。本稿の実証結果は90年代後半の金融危機などを経て、金融機関のリスクに対する預金者の反応が厳しくなり、預金者の金融機関選別が強まってきていることを示している。
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