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大正初期の「村民経済計算」:山梨県町村是による推計の試み


尾関学


December, 2004


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Abstract
本稿は、明治・大正期に全国の各町村で調査・作成された町村是による、「国民経済計算」体系に準じた「村民経済計算」推計の試みである。まず、所得推計に関する日本経済史の研究成果を概観し、町村是による所得推計の可能性を提示する(第1節)。次に、使用する資料の紹介をかねて、『清田村・国里村々是』から町村是の収支勘定を説明し、「国民経済計算」との関連性を述べる(第2節)。つづいて、両村の職業別戸口数から就業構造を確認する。そこでは、大正初期においても農業における兼業の重要性を指摘する(第3節)。最後に、『清田村・国里村々是』を用いて、まず生産所得を推計し、村民総生産と支出勘定、個人勘定、村役場勘定、資本形成勘定、村外勘定を推計した(第4節)。本稿の推計は改善の余地を含んでいるが、明治・大正期農村の経済構造を明示的なフレームワーク、すなわち「国民経済計算」体系で描写できることを示した。
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