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東京圏における1990年代以降の住み替え行動
―「住宅需要実態調査」を用いたMixed Logit分析―



小林庸平・行武憲史


March, 2008


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Abstract
住宅および住環境は、人々の生活の豊かさを決める主要な要素であり、どういった要因が住み替え行動に影響を与えているかを明らかにすることは、今後の政策・制度設計を行う上で重要なことである。
日本では、バブルの発生・崩壊からその後の経済停滞期において、地価や金利、所得など経済環境が大きく変化したため、従来から言われてきた住宅双六すなわち「借家→持家マンション→持家戸建」といった住み替えのステップアップは崩壊し、双六の「あがり」が多様化したとも言われている。本稿では、平成5・10・15 年「住宅需要実態調査」の個票データを用いて、バブル崩壊以後の東京圏における住み替え行動を実証的に明らかにする。実際には、住み替え選択、所有選択、居住地選択という3 つの選択の同時性を考慮した居住選択行動の分析を行う。居住選択行動の分析に際しては、条件付きロジットモデルに加えて、IIA 条件を緩和できかつ選択肢間の相関についての分析が可能なMixed Logit モデルによる分析を行っている。
ロジットモデルの推定結果とそれを利用した世帯類型別の分析結果から、経済・社会環境の変化に応じて、住み替え確率や各変数の推定値は変化するものの、いわゆる住宅双六は依然として存在していることが確認された。ただし、住み替え確率に対して世帯変動の影響が極めて強いことにより、わが国において一層の世帯規模の減少と高齢化の進行が予想される将来では、住宅双六が存続されるとは限らない。
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