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北朝鮮の人口推計に関する既存研究は、北朝鮮の史実を軽視する傾向が強い。換言するなら、史実を語るには不十分な推計結果となっているということである。
本稿では、推計作業に先立って北朝鮮の史実から得られる推計結果の検証基準としてつぎの4つを提示した。
条件1 登記男子人口 < 真の男子人口(ただし、1970年代以前は除外)
条件2 登記女子人口 > 真の女子人口
条件3 登記出生数 < 真の出生数 (1986年の場合)
条件4 性比は0.883から0.949の範囲内で漸次的上昇
既存研究では、これらのすべての条件を満たすことができていない。既存研究がこうした結果に陥っている要因の一つは、モデル生命表に多分に依存していることにある。
そこで、本稿ではモデル生命表には依存せず、独自に生命表を作成したうえで推計を試みた。ここで用いた方法は、北朝鮮建国前である植民地期の1942年生命表と建国以来唯一のセンサスである1993年生命表を連結するという方法である。
こうして得た生命表をもとに逆進推計を行なった結果、ほぼ満足のいく結果を生むことができた。このことは、北朝鮮の人口推計を行なう場合、史実から得られる統計情報にもとづいて推計を行なうことが、モデルに依存するよりもはるかに合理的であるという仮説につながる。
なお、本稿で対象とした人口指標はつぎの5つである。
@男女年齢別人口/A平均寿命/B普通出生率/C普通死亡率/D乳児死亡率
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