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マニラ地域経済圏における流通取引の展開
――19世紀から20世紀前半における米穀取引を中心に――
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本稿は、19世紀から20世紀前半におけるマニラ地域経済圏の商品流通について、米穀取引を中心に考察する。とりわけ土地所有を含む地域の生産構造と併せて分析することによって、同地域経済圏内の商品流通のあり方を明らかにしたい。19世紀のブラカン(Bulacan)州では、州内部で流通取引が完結する「地方市場圏」とマニラと結びつく「首都市場圏」が発達した。こうした重層的な市場圏が存在していたブラカン州とは対照的に、ヌエバエシハ(Nueva Ecija)州が、1920年代までに新たな米の産地として台頭する。同州では、中国人が米穀流通に積極的に参入して経済効率的な流通システムを構築していた。
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