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途上国における家計の労働配分決定とリスク:
インド・ビハール州及びウッタル・プラデーシュ州の農家の事例
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途上国における家計の労働配分決定に関する研究においては、賃労働が農業リスクへの対処として重要な役割を有していることが指摘されてきた。その一方で賃労働の種類を考慮した研究は皆無である。農業との間の所得の相関は、賃労働の種類によって大きく異なると考えられ、したがってリスク対処と労働配分の決定に関する研究において、この点を考慮することは重要であると思われる。本稿では、インド中北部二州における農家の個票データを用いて、労働の種類を自営農業労働、自営非農業労働、農業賃労働、非農業賃労働の四つに分類し、労働供給関数を多変量トービット・モデル(multivariate tobit model)を用いて推計した。
この分析から、先行研究と同様に農家の労働配分の決定に降雨量の変動が大きく影響していること、特に、より大きなリスクに直面する家計ほど事前のリスク対処として自営農業労働から賃労働、とりわけ非農業労働に労働時間をより多く配分していることが確認された。これらの結果は、農業リスクへの対処においては農業と所得の相関が低い賃労働が家計にとってより重要であるという本稿の仮説を支持するものである。同時に、本稿で示された結果は農村労働市場における非農業部門が家計のリスク対処能力を高めるという側面においても重要な役割を有していることを示唆するものである。 |
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